防犯設備としてシャッターを設置している建物は、ひと昔前までは店舗が大半だったと思います。しかし最近では、犯罪に対する危機感が高まっているためか、一般的な住宅でもよく見かけるようになりました。確かにシャッターがあれば、犯罪の抑止につながります。
しかし、そんなシャッターに不具合が生じてしまうと、防犯のための設備だったのが一転して、私たちの生活を脅かす存在になってしまいます。店舗であれば営業がおこなえなくなってしまいますし、住宅であれば自動車の出し入れなどができなくなってしまうからです。
本コラムでは、シャッターに起こりやすい故障や、その対策についてご紹介します。不具合が生じてしまったとき、ぜひ役立ててください。
シャッターの構造と種類
シャッターに不具合が生じたときの対策を考える前に、まずは種類と構造についてご説明します。使用しているシャッターがどの種類に当てはまるのかを知り、その構造について理解を深めることが、不具合をスムーズに解決することにつながるからです。
シャッターの種類
まずは『電動シャッター』と『手動シャッター』についてご説明します。これらはその名のとおり、電動で開閉するのか、手動で開閉するのかという違いがあります。
・電動シャッター
このタイプの最も使い勝手がいいとされる点は、遠隔操作が可能なところです。離れた場所からでも、リモコンによって開閉を操作することができます。そのため、力のない人でも容易くシャッターを動かすことが可能です。近年ではリモコンの代わりに、専用のアプリをスマートフォンなどにダウンロードすることで開閉できるタイプも流通しています。
・手動シャッター
昔から流通しているタイプです。自分の力でシャッターを開閉します。シャッターを上げ下げしなければならないため、身体には負担がかかってしまいますが、リモコンやアプリの操作について悩む心配がありません。力さえあれば、誰でも開閉できます。
シャッターの構造【手動シャッターの場合】
シャッターの構造について詳しく知っておくことは大切です。なぜなら、構造をある程度把握しておけば、自分で修理をする際だけでばく、修理してくれる業者に対して依頼するときも不具合の説明が容易になるからです。さらに、業者の説明に対しても理解することができるため、構造はきちんと理解しておきましょう。
これから説明は、手動シャッターの構造についてです。しかし、電動シャッターと手動シャッターの、シャッターそのものの構造にはほとんど違いがありません。
この2種類の違いは、スラットというシャッターを開閉する際に上下させる部位を巻き取る作業が手動か自動かだけで、巻き取るために動く部品は違わないからです。
そのため手動シャッターの構造さえ知っておけば、電動であろうと関係なく対処できます。それではシャッターの構造について説明していきます。
・スラット
シャッターカーテンとも呼ばれる、シャッターを開閉する際に上下する部材のことです。長方形の部材がいくつも組み合わさっているものであり、シャッターのメインともいえる部位になります。
・スプリングシャフト
スラットを巻き取る軸の部分である棒状の鉄パイプのようなもの(巻取りシャフト)と、スプリング(バネ)が組み合わさった部材です。シャッターの開閉をおこなう際に、最も重要なパーツといえます。シャッターケースの内部にあるため、外からは確認することはできません。
・シャッターケース
シャッターが閉じているときにスラットが収納される部位であり、スプリングシャフトなどの動力部分を覆っている部位になります。
・吊元
一番上にあるスラットのことで、スプリングシャフト(巻取りシャフト)と連結している箇所です。シャッターを下ろしたときにストッパーとなる金具がついていることが多いです。
・ガイドレール
スラットの左右に設けられている溝のことです。これが正常に機能していることでシャッターの開閉が容易くおこなえるといえます。
・水切り
スラットの一番下にある部位のことです。シャッターは下の方に水やホコリが溜まりやすく、それらを放置してしまうことで、溜まった水に接触している部位がサビついてしまいます。このような問題を防ぐためにも、水やホコリが溜まったら速やかに取り除かなければなりません。
シャッターの故障で多い3つの箇所
この項目ではシャッターで起こりやすい故障内容についてご説明します。シャッターの不具合を改善するためには、業者に修理してもらうことが一般的です。これからご説明する不具合が生じている場合は、一度、修理業者に依頼することを検討してください。
シャッターが下りない
シャッターケースの中に上手くスラットが収納されず、ケース内部で引っかかってしまっていると、シャッターは下ろすことができません。さらに、ガイドレールが強風などによってゆがんでしまっている可能性もあります。
何度か試しても閉まらなかったら業者に点検してもらいましょう。自力での修理は、問題が発生していない箇所まで壊してしまうおそれがあるため、やめておくのが無難です。
電動シャッターが動かない
まずはシャッターのそばに物を置いていないか確認してください。電動シャッターの場合は、近くに物を置いていると、安全装置リミッターが作動して動かない場合があります。
ほかには、シャッターを動かすための大元のブレーカーや、シャッター自体のブレーカーが落ちている場合もあります。強い雨が降った後は、内部に雨水が入り込んでしまったことが原因で、電源がショートしている可能性もあります。ブレーカーも確認してみましょう。
電源シャッターの不具合は、電気の問題である場合が多いため、不本意に自分で修理しようとするのはやめましょう。点検しようと、動力部が収まっているシャッターケースに触れると急にシャッターが動き、手を切ってしまうなど事故につながってしまうかもしれません。
電源シャッターの不具合は、身の安全のためにも、必ず業者に修理を依頼するようにしてください。
シャッターが斜めになった
台風や地震などの天災で、シャッターカーテンが斜めにゆがんでしまう場合があります。その状態での開閉はやめるようにしましょう。無理に開閉をおこなうことで、ほかの箇所を傷つけてしまうなど状況が悪化するおそれがあります。
そうなると、大掛かりな修理が必要になるだけでなく、シャッター本体を交換しなければならなくなったり、建物自体が傷ついたりする危険性があるからです。
シャッターの修理にかかる費用の相場
業者に依頼する際、最も気になるのは費用についてだと思います。この項目では費用相場についてご説明しますので、ぜひ修理を依頼する際の参考にしてください。
シャッター修理の費用相場
代表的な修理内容について、費用相場はこちらになります。まず、スプリングシャフトの調整は、8,000~15,000円が相場といわれています。スラットの修理費用は50,000~100,000円です。ガイドレールの修理はおおよそ15,000~30,000円でおこなわれます。
ただし、修理費用は手動なのか電動なのかでも変わってきます。また、修理内容によっても違ってきます。さらに、業者によっても多少の違いがあるため、上記でご紹介した修理費用については、あくまでも参考程度の情報にしてください。
詳しい費用について知りたいという場合は、実際にシャッター修理をおこなってくれる業者に見積りを依頼してみましょう。
交換が必要な場合も……
部位の状態によっては、修理では事態を改善することは不可能だと判断され、新しく交換しなければならない場合もあります。手動シャッターの場合だと、新調する際の費用相場は150,000~180,000円です。
電動シャッターの場合は250,000~350,000円になります。これらの情報についても参考までにしましょう。
シャッターの修理や交換は業者に依頼しよう!
シャッターに不具合が生じているときは、プロの業者に一度点検してもらいましょう。部位の交換はもちろんのこと、修理も自力ではおこなわないほうがよいです。
修理する必要のない箇所を壊してしまう可能性があるだけでなく、電動シャッターの場合は電気を扱っているからこそ下手に触れば負傷する危険性もあるからです。
まとめ
シャッターの構造は一見すると単純にも思えますが、その実、知識や経験のない人が修理や交換をおこなうには複雑な構造をしています。さらに、電動シャッターの場合は、電気を使っているため、下手に触ってしまうと大事故に発展してしまうかもしれません。
そのため、不具合が生じたときは、できるだけ早く業者に依頼するようにしましょう。プロの業者であれば、私たちでは見つけられない問題点も事細かに洗い出し、最適な手段で解決してくれます。